喜ばざる状況だから修理後には喜んで頂きたい。
繊細な感覚とテクニックでスペシャリストが対応します。
実際の修理の事例です。
[ スズキ ラパン 前面修理事例 ]
平成25年式 スズキ アルトラパン(HE22S)
ボディーカラー:ミステリアスバイオレットパール(ZED/2CP)
こちらの 車両が道路へ顔を出した所で接触した事故による損害です。
さらっと正面を擦っていっただけのように見えますが・・・
何だか特徴的な損傷の痕が確認できます。
では、車体整備のスタートです。
ボルトオンパーツを(外板部品)分解して、内板骨格部位への損傷を確認します。
おっ!?
サイドメンバー(フレーム)の左側が大きく右方向へ傾いているのが確認できます。
『フレームが右方向に振っている』といった言い方をします。
これだけの変形量ですとフレーム修正機によるフレーム修理が必要になります。
サイドメンバーの左側が右方向に変形した事で、クーラーコンデンサとラジエータも弓形に変形しています。
では、フレーム修正機 『BLACKHAWK(ブラックホーク)』 にマウント(固定)して早速フレーム修正を行っていきます。
まずはアライニング(粗出し)で、元の位置までフレームを戻します。
次にコンデンサ等のエンジンルーム内の付属品を取り外して、微修正。
角度や引っ張る箇所、力加減を代えて修正していきます。
フレームが元の位置まで戻ると、初めてフレームをはじめとした内板部品を板金により元の形に形成し直したり、部品を交換したりしていきます。
サイドメンバーは数枚の鋼板を重ね合わせ、正面から見ると四角い筒状の構造となっています。
今回の事故のダメージ量からフレームは交換せずになるべく元々のフレームを生かす整備の仕方を選択しました。
当社では新車時の車体構造になるべく近い状態に復元する事を優先しているため、部品を交換せず、オリジナルの部品を直す選択をすることが多いです。
サイドメンバアウタパネルと呼ばれるフレーム外側の板状の部品を一旦外します。
この部品を外した事で、残るフレームを内側から元の形にキレイに形成する事ができます。
次にサイドメンバーの左側が大きく右(内側)方向に変形した事で合わせて変形した「フロントロアクロスメンバ」の修理をしていきます。
修理前のサイドメンバ左側の変形を見ると、左から右方向の力をサイドメンバの下側に取り付いているクロスメンバがつっかえ棒のような働きをして、サイドメンバーの下側は余り変形せず、何の支えも無い上側だけが右方向に変形したようです。
「衝突安全ボディー」はクルマの真正面、真後ろ、真横といった直接搭乗員にダメージを与える可能性が高い事故を想定した構造となっていますが、それ以外の今回の様な事故は想定していないので、思いの外、内板骨格部品が変形してしまう特徴があります。
クロスメンバは左右に分かれているサイドメンバーを横に繋いでいる部品です。
曲がり道などを走行中に左右のサイドメンバそれぞれに掛かる力をこの部品を介してねじれ運動を発生させることで、車体左右のバランスを保つ重要な働きをしています。
今回の車体整備ではフレームの左側と同じく、オリジナルを残す選択をしました。
まずは、クロスメンバの上側を開放して、残ったメインのクロスメンバを内側から元のカタチとなるように板金により形成します。
形成を終えると、初めに外したクロスメンバの上側を溶接により溶着させて元通りにします。
フレーム修正(サイドメンバ左側及びクロスメンバ)が完了です。
「機能と構造」「強度と耐久性」「安全性」を回復させ、次に「美観」を回復させます。
内板塗装。
ここから・・・
防錆処理をして・・・
内板っぽい塗料で一色目を塗装。
シーリングをして・・・
車体色を内板っぽく塗装。
内板塗装を終え最高級塗装ブース 『SAIMA(サイマ)』 内で外板塗装をしていきます。
フロントバンパーは色無し部品しか販売されていないので塗装。
フードパネル。
今回の事故でフードパネル先端部に傷があったので下処理で傷を平らにしてから塗装。
フロントフェンダの左右にぼかし塗装。
カウルトップグリル(写真下奥)へのぼかし塗装とラジエータグリルを新品に代えるためにこちらへも塗装。
で、
外板塗装を完了させた後、部品を取り付けたり、新しい部品に交換したりして完成。
キレイに仕上がりました 😆
今回の修理代は 技術料203,839円 部品・材料代229,446円 ナンバー再交付13,680円 合計446,965円となりました。
整備期間は6日間 でした。
担当者 フロント/武本・鈑金/薬師寺・塗装/椎野