喜ばざる状況だから修理後には喜んで頂きたい。
繊細な感覚とテクニックでスペシャリストが対応します。
実際の修理の事例です。
[トヨタ ヴォクシー 左側面(後部)事故修理事例]
平成16年式 トヨタ ヴォクシー(AZR65)
ボディーカラー:シルバーメタリック(1D4)
左側面(後部)の損傷です。
左スライドドア、右クォーターパネルが広い範囲で凹んでいます。
左後ろのポイールキャップにもキズが確認できます。
では、早速車体整備の開始です。
今回は左スライドドアの取替、左クォーターパネル(リヤフェンダ)の取替が主な作業となります。
左のスライドドアを外し、左クォーターパネルをスライドドアのレールカバー下側で半裁して取り替えます。なかなか見ない光景ですね。
クォーターパネルはボルト(ネジ)で留められておらず、モノコックボディーの一部として溶接によりボディーに溶着されています。
今回の取り替え位置には訳があります。
まずは接着材にて接着されて取り付いているクォーターガラスを外す費用が軽減できる事。
次にスライドドアのレールカバーが取り付いてしまうと見えなくなる箇所でクォーターパネルを溶接により取り付けることで修理箇所がほぼ分からなくなります。
その他、溶接にもちょっとした工夫と拘りが・・・
見えなくなるところもしっかりスポット溶接。
残ったパネルと新しいパネルを溶接する個所で面と面を溶接する場合はMIG溶接と呼ばれる溶接工法で溶接します。
MIG溶接の溶接範囲を小さくする事でパネルに与える熱でパネルが変形してしまう予防や修理が終わってから しばらくした時に溶接跡が表面化するトラブルを予防できます。また、複数のパネルが重なり合う強度が出る位置で溶着する事など、溶接する箇所には美観と強度の回復をする工夫と拘りがあります。
スライドドアの裏吹き(内側塗装)。
パネルの表に施された塗装と違い、パネルの裏側は新車の製造ラインで塗装されたように塗装しています。これもちょっとした拘りです。
防錆処理やシーリングを施して、塗装ブース『 SAIMA(サイマ) 』内で塗装します。
新しくしたパネルの表面にも防錆処理。
で、塗装。
メタリックやパール塗装は修理したパネルの隣のパネルにまで塗装します。
今回は取り替えた左スライドドアの隣の左フロントドアに「ぼかし塗装」を施します。
このフロントドアの中で元々の色と新しく塗った色を分からなくしています。
メタリックやパール系の塗装の場合、修理していない元々の塗装と「正面」「スカシ(斜めから見た色)」「タチ(メタリックやパールのキラキラ感)」の全ての色見を合わせる非常に難しい『調色(ちょうしょく)』技術や塗装も色や最終的な塗装の仕上がりに合わせるため、スプレーガンで塗装を吹き付ける時のパネルとガンの距離、ガンを動かすスピード、吹きかける塗料の量、スプレーの風量といった様々な条件を組み合わせて塗装する『スプレー技術』で品質は大きく変わります。
分解していた全ての部品を取り付けて、最後にホイールキャップを取り替えて完成です。
キレイに直っていますね。
今回の修理代は 技術料148,597円 部品・材料代178,006円 合計326,603円 となりました。
整備期間は5日間 でした。
担当者 フロント/武本・鈑金/野田・塗装/松浦