喜ばざる状況だから修理後には喜んで頂きたい。
繊細な感覚とテクニックでスペシャリストが対応します。
実際の修理の事例です。
[ ホンダ フィット 左前方部修理事例 ]
平成26年式 ホンダ フィットハイブリット(GP5)
ボディーカラー:ビビットスカイブルーパール(B595P)
自損事故による損害です。
左正面より衝撃の入った事故のようです。
一見フロントバンパ-が外れた位かな?と思いますよね。
外板パネルを分解してみます。
内板骨格部品は問題ないかなぁ~
おっ?!
おおっ?!!
タイヤに干渉している部品が・・・
このタイヤに干渉している部品を「フロントバンパエクステンション」といいます。この部品はフェンダエプロン、フードレッジ、フロントホイールハウス等と呼ばれる部品に代って採用されている新しい車体構造部品です。
衝突安全ボディの要素の一つの『ダメージャビリティー(対損傷性)※ 』が計算されているようです。
この車体構造をホンダさんが採用し、初めて見たときには衝撃だったのは良い思い出。
正面から見ると分かり難い損傷も上や横から見ると折れ曲がってるのが分かります。
今回は「フロントバンパエクステンション」の交換を含めた車体整備を行います。
まずは、内板骨格修理作業から。
交換する予定の「フロントバンパエクステンション」を使って、アライニング作業(荒出し&ボディ計測)を施工して事故の衝撃で変形したボディを新車時に設定されている車体寸法まで戻していきます。
この作業工程では見た目で壊れている部品をすぐに交換するのではなく、車体を構成する部品同士は溶接で繋がっているため、見た目だけでは分からない部品にまで衝撃が波及しています。その見た目だけでは分からない損傷を直すために、事故による衝撃を強く受け変形した部品を観て、力の大きさや入力角度を想像し、車体構造を分かった上で最も効果的な修正の仕方を選択します。
この作業の善し悪しは今後の作業の効率や安全性に大きく影響するので、技術者にとっては経験とセンスを問われる重要な行程です。
引き出す角度や力の入れ具合、使用する道具を代えて修正していきます。
初めはタイヤに干渉していた「フロントバンパエクステンション」が元の位置に戻りました。
「フロントバンパエクステンション」全体の寸法は基準値に納ったようですが、
「フロントバンパエクステンション」の一部クシャクシャっっとなった部分は元に戻りません。無理につぶれる事で事故による衝撃を吸収した結果このようになります。
「フロントバンパエクステンション」は溶接により溶着されているので溶接を外し、
新しい部品を溶接により取り付けます。
接合部の一部をパテにより形成し、
防錆処理。
そして、内板骨格部品の塗装となります。
塗装の際、無理にパラパラと塗料を吹き付けたり、数種類の違った色の塗料を吹き付ける事で事故前の様な塗装の状態を再現します。
良い感じですね。
次に外板塗装です。
今回はフロントフェンダーを交換しました。
フロントフェンダーの隣のフロントドアにも色の違いが出ないように「ボカシ塗装」を施工します。
塗装作業を終え、新しく交換する部品を取り付けます。
交換した外板部品。
事故による衝撃で右側のヘッドランプの取付部も折れていたので交換しました。
で、完成・・・ではなく、実は今回の事故で、左前タイヤが後退する程の衝撃を左足廻りに受けています。
当社ではお預かりした際に足廻りの損傷が疑わしい場合は 最新の四輪トータルアライメントテスタ『 V3D3 ARAGO ULTRA 』により足廻りの異常を診断します。
損傷を負った部品を鈑金塗装している間に取り寄せておき、最後に足廻りの整備をしました。
足廻りの交換部品。
最後にもう一度、四輪トータルアライメントテスタによりチェックします。
で、本当に完成です。
色艶、立付け共に キレイに仕上がりました。
今回の修理代は 技術料172,617円 部品・材料代407,219円 合計579,836となりました。
整備期間は5日間 でした。
担当者 フロント/武本・鈑金/薬師寺・塗装/椎野・整備/大村