喜ばざる状況だから修理後には喜んで頂きたい。
繊細な感覚とテクニックでスペシャリストが対応します。
実際の修理の事例です。
[ ホンダ N-BOXカスタム 前方部損傷修理(特異)事例 ]
平成25年式 ホンダ エヌ ボックス カスタム
ボディーカラー:プレミアムホワイトパール(NH624P)
良くある真正面の衝突事故です。
少し上から撮影。
(以下棒読みで)
さすがに直撃した部分はやんわり変形してるからフロントバンパの交換くらいで済むかな?
もしかしたら、ヘッドランプの左側の取付部は折れてるかもしれない。
では、作業開始。
まずは分解。
おっと!!
やっぱり!!!
見た目だけでは分からない最近の車体構造。すでにこの位は予想しています。
フロントバンパ-のすぐ裏側にあるクーラーコンデンサやラジエータが、横から見るとくの字に折れ曲がっていますね。
さらに分解。
くの字に折れたクーラーコンデンサやラジエータを外します。
あれ?
トランスミッション(変速機)からCVTオイルが漏れています・・・
このCVTオイル漏れの原因を探るべく、さらに分解。
原因は・・・
ピックアップセンサーの折損。(下の写真)
トランスミッションのココ(↓)にささっていて、CVTオイルはここから漏れていました。
上が新しいモノ。下が今回折れて壊れたモノ。
で、ここからが問題。
そう、粉々になった部品がトランスミッションの中に入ったままなんです。
精密なギヤ(歯車)のカタマリであるトランスミッション。
走行中にこの部品が詰まれば命にも係る大変な事故に繋がる可能性もあります。
まずは、内板骨格修理を施工していきます。
軽く、アライニング(荒出し&計測)作業。
バルクヘッド(ラジエータサポート)を新しいモノに交換し、溶接して取り付けます。
そして、防錆処理や下処理をした後、内板塗装。
交換したバルクヘッド。
そして、トランスミッションに落ちた部品を回収するためトランスミッションの分解を試みます。
オイルパン(普段オイルが溜まっているトランスミッションの底に付いた受け皿)を分解します。
ここで粉々になった部品の全部が回収できれば。と期待しつつ・・・
!!
ありました。
しかし、粉々になった部品のほとんどがすでにトランスミッションの中で飛散していて、全てを回収するのは不可能と判断しました。
結局、新しい部品(写真上)についている銀色の部品は出てこないま・・・
で、次に選択したのがトランスミッションの交換です。
現在の自動車はトランスミッションやエンジンのオーバーホール(総分解)は専門的な知識と技術の他に専用工具が必要となり、一般的に整備工場ではオーバーホールをするような整備はしないことが多く、(ディーラーと呼ばれる)販売店の整備工場でもどこでもできるわけではないようです。
さらにその作業費用を考慮した場合、リビルト部品への交換を推奨しています。
載せ替えるトランスミッション。
載せ替えを終えて、外板塗装。
で、完成。
軽度に見えた損傷でしたが、トランスミッションにまで関わる大きな修理となりました。
こういった事例が自動車メーカーに何らかの形で報告され、改善されていくんでしょうね。大きなお金と時間、手間を掛けて自動車メーカーでは販売前にこれでもかという様々なテストをしてから世に送り出します。それでも自動車も人のつくったモノですから、走ってみなければ分からない、時間が経ってみないと分からない、今回のようにぶつかってみないと分からないのはしょうがない事。
でも、N-BOXオーナーとしては避けたいダメージポイントですよね・・・
今回の修理代は 技術料239,890円 部品・材料代698,090円 合計937,980円 となりました。
整備期間は(日数)10日間 でした。