喜ばざる状況だから修理後には喜んで頂きたい。
繊細な感覚とテクニックでスペシャリストが対応します。
実際の修理の事例です。
[ ホンダ N-BOX 右前方部修理事例 ]
平成25年式 ホンダ エヌボックス(JF1)
ボディーカラー:クールミストメタリック(NH787M)
自損事故による右前方部の修理事例です。
右フロントフェンダが電柱にぶつかった損傷です。
右フロントフェンダの損傷とは別の事故でフロントバンパの右側を正面からぶつけています。
よくありそうな事故損傷ですね。
今回はフロントバンパとフロントフェンダを新品部品に取り替えます。
(新品参考価格としてフロントバンパは塗装済みで32,700円+交換工賃・フロントフェンダは16,400円+交換工賃+塗装代となります)
では早速修理開始。
フロントフェンダを交換するためにフロントバンパーを外します。
おや!?
フロントバンパーの裏側のフロントバルクヘッドクロスメンバが矢印の方向に押し込まれ内板骨格部位にも変形が確認できます。
フロントバルクヘッドクロスメンバ・・・長いのでコイツと呼びます。
コイツはプレス加工により強度を出した三つ鋼板を溶接して一つの部品として販売されていて、左右の小さい部品と真ん中の長い部品で形成され、今回は右側の変形した部品だけほしいのですが、これだけでは部品として売っていないんです。(新品部品の価格10,500円+高額な交換工賃+塗装代)
そのため、この右側の小さな部品がほしいからといって、販売されている大きさで購入すれば部品代は高いし、この販売されている形のまま部品を交換すれば大きな整備代が掛かります。
今回はご予算もあるので、修理しちゃいます。
まずは押し込まれた全体の部品を引き出します。
次に、一番変形しているフロントバルクヘッドクロスメンバの一部を外します。
あっ! フロントバルク・・・でなくてコイツの一部を外します。
コイツはスポット溶接によって取り付けられているので、溶接されている部分をドリルにより削って外します。
スポット溶接を削るのに従来の先の尖ったドリルの歯を下の写真のように真ん中以外は平らになるように加工します。このように加工することで点では無く面で削ることができ、穴を開けずに表のパネルだけを外す事ができるんです。
鋼板の素材、ナゲットの大きさなどで様々な種類のドリルの歯を鈑金屋さんは持っています。
表に付いた一番変形した部品を外した事で、裏側で変形した部品を直接直す事ができます。
一番変形していた取り外した部品を裏と表から直接鈑金できるので元の形に形成します。
全ての部品が修理できると、取り外した部品を溶接により取り付けます。
防錆処理をした後、 塗装して内板骨格部品の修理が完成です。
なんだか、損傷が直っていない様ですが、これが元々のカタチです。
この部品が変形したままだと、フロントバンパーを正確に取り付ける時に影響の出る部位なので寸法はしっかりと元に戻しています。(今回はご予算があったのでナゲット(スポット痕)は作成していません)
最近の車、特に軽自動車は室内空間を広くするためにエンジンルームが狭くなり、バンパーと内板骨格部品との隙間が少ないので、バンパーが変形するような損傷の場合、内板骨格部位にも損傷を負う事が多いです。バンパーを外すと中がグチャグチャなんてことはよくあります。以前に比べて事故車修理のお見積りも車体構造や事故車修理の知識や経験がないと難しくなっています。
内板骨格部位が終わり、フロントフェンダを交換した後、最高級イタリア製塗装ブース『 SAIMA(サイマ) 』内で塗装します。
今回、交換するフロントフェンダの隣にあるフロントドアには「ボカシ塗装」を必要としますが、お客様のご要望(ご予算と仕上がりをご相談した結果)で、フロントドアに取り付いているのアウタハンドルとドアミラーを取り外して塗装します。
鋼板にプライマー(防錆材)が塗装されています。このプライマーの色が黒色何です。
このプライマーも新品部品とはいえ、仕上がりが悪かったりすることがあるので、要チェックです。
そして、塗装前にサフェーサを塗装します。
このサフェーサはプライマーと同じ防錆効果の他に、上塗りの色見や密着性なんかにも効果があります。
新品部品に塗装されているプライマーは鋼板を大気に晒さないことで錆させない程度の能力しかなさそうです。このプライマーの上に直接塗装を吹きかけると艶がひけたり、塗装が剥がれたりと様々な不良の原因となります。
で、上塗りをして完成。
今回の修理代は 技術料69,466円 部品・材料代61,895円 合計131,341円 となりました。
整備期間は4日間 でした。
担当者 フロント/山田・鈑金/福本・塗装/松浦